除草の必要性と消防法(変電設備/発電装置)
まれに質問があります。
『周辺の雑草が多くて指摘されるが電気に何が関係あるの?』
下記に法令や基準類を抜粋しますが、簡単に説明すると、変電所や発電設備は危険物であり燃える可能性があるものです。周辺に可燃物があったらダメ。火災の防止と周辺への延焼を最小にするためにこの法律は守ってね。ということです。
1.消防法(火災予防条例含む)で変電設備や発電設備の順守事項が規定されてます。
消防法第 3 条では火を使用する設備またはその使用に際し火災発生のおそれのある設備の位置、構造、管理に関し火災予防のために必要な事項は 政令で定める基準に従い市町村条例で定めるとされている。本条では,燃料電池発電設備は「火を使用する設備」として、変電設備、発電設備、蓄電池設備は「その使用に際し火災発生のある設備」として位置づけられています。
2.法令で規定されていること(抜粋)
(表示)見やすい箇所に変電設備等である旨を表示した標識を設けること。管理上や災害時に消防隊員が変電設備等に放水し 感電等二次災害を防止する意味からも必要である。
(施錠管理)変電設備等のある室内には係員以外の者をみだりに出入させないこと。 保守員以外の者の立ち入りを制限し常駐していないものは施錠はもちろん立入りの禁止の旨の表示が必要である。
(保有距離)保有距離1m 以上確保する。他建築物から 3メートル以上の距離を保たなければならない。ただし不燃材料で造りまたはおおわれた外壁で開口部のないものに面するときはこの限りでない。(火災予防条例告示で定めた仕様で作られたキュービクルであれば緩和されます)
(整理整頓)常に整理及び清掃に努めるとともに油ぼろその他の可燃物をみだりに放置しないこと。
→ここでは変電所があることの明示。関係者以外立ち入り禁止。1m以内に可燃物を置かないこと。この理解が重要です。変電設備外装、消火器のボックスは必ず不燃材です。当たり前ですがプラスチックボックスを置くことも本来は良しとされません。他建物から3mの制限はほとんどのキュービクルが告示対応品であることから規制に該当する可能性は低いです。(ただし改造などで告示はずれになるケースが多々ありキュービクルの改造は慎重に…)
3.変電設備がなぜ法令の対象に?
変電設備にしようされる変圧器や高圧機器に含まれる絶縁油(第三石油類)が危険物に該当します。発電装置は市町村により規制対象の有無がありますが発電過程で熱が発生する≒火災につながりやすい装置であることは認識ください。ちなみに絶縁油はA重油相当であり指定数量2000Lです。それを超える場合は更なる法規制があります。
4.変電設備の設置と届出について(消火設備の設置)
変電設備等を設置しようとする者(内容を変更しようとする者を含む。)は 当該工事に着手する日の7日前までに電気設備設置届により消防署長に届け出て検査を受けなければならない。※非常電源装置や蓄電池その他危険物の累積により少量危険物や危険物施設に該当する場合はそれぞれの消防法条文による対応が必要です。
→ここでは届出の重要性を認識ください。この行為がなければ防火対象物としてみなされませんし法令違反になりますので火災などがあった場合に保険適用条件から外れる可能性があります。
5.枯草や段ボールは指定可燃物です。
火災が発生した場合にその拡大が速やか、消火の活動が著しく困難となるものです。わら類(枯草などの雑草も含まれます。)段ボールや紙屑なども該当します。一定量の取り扱いがある場合は指定可燃物取扱所や貯蔵所に該当します。※詳細は消防法令をご確認あるいは管轄消防へご確認ください。
→枯草は思っている以上に燃えるものです。野立ての太陽光などは周辺に人がいない場合があり火災通報の遅れが発生する可能性があります。変電設備、発電装置は火災が発生する可能性があるものとして法令に則った管理が必要であることを認識ください。